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戦争の三年目。真夜中に空襲で母の病院が焼失。寝ていた眞人(まひと)は飛び起きて、火事の現場に駆けつける。母を死なせた火事の光景が深く記憶に焼きつく。
翌年、眞人は父と共に東京を離れ、疎開先へ引っ越す。
駅に迎えに来た、母と顔がそっくりな叔母・夏子が父の再婚相手。仕事場へ向かう父を見送り、夏子と二人、既にお腹に父との子がいることに困惑しながら、新しい住まいへと向かう。
着いたのは通称「鷺屋敷」と呼ばれる母の実家。
父が経営する軍需工場を見下ろす高台にあり、
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屋敷に入るなり、青サギの歓迎を受ける。
世代の離れた使用人たちに挨拶し、屋敷の中を案内された後、
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母屋の隣に建つコテージへ。自分の部屋だと通され着いて早々眠りに落ちるが、場所が変わっても炎に巻かれた母の夢にうなされる。
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目覚めた後、庭の青サギを追って敷地の外れに廃墟を発見。婆やに連れ戻され、夏子から「大伯父が建てた家」の話を聞く。家主も行方不明で崩れて危ないから近寄らないよう言われる。
家の中と同様、新しい学校でも自分から人と話すことはなく、
勤労奉仕も参加せずに帰ろうとしてクラスメイトたちと衝突するなど、誰にも心を開かずに過ごす中、
嫌な状況から逃げ出したいあまり、自分で自分の頭を石で殴りつけ大ケガをして家に帰る、という事件を起こす。